東京大手町にあるASICS RUN TOKYOに訪れた際、スタッフさんと色々話しているうちに出されたのがこのターサージャパンです。
元々はターサージール6を試したかったのですが、スタッフさん曰くターサージールはスピード練習や短距離であれば最高だが、フルマラソンが目的、4:00/km前後であればこちらのターサージャパンお勧めですよと。
さてターサージャパンは、ターサーシリーズのフラッグシップモデル。
しかし、ターサージャパンを履く前のイメージとして、「マラソンランナーであれば一度は履きたいと憧れるターサーという冠を名乗りつつも、ターサージールを履くにはまだ早いランナーの為のターサー入門シューズ」的なイメージを持っていました。
また、ターサージャパンは2000年の発売からほとんどモデルチェンジしていないアシックスの不変的な定番レーシングシューズです。モデルチェンジしていないという事を進化が止まったシューズとネガティブな印象に捉えている部分が私の中に少なからずありました。
スタッフさんにターサージャパンを進められた際、「あなたにはターサージールはまだ早いですよ。サブ3.5クラスならターサージャパンで十分。」そんな風に言われているような気がして(自分への偏見が過ぎるw)、あまり気は進まない中で試しばきをさせてもらいました。
ターサージャパンを出され、足を入れた瞬間に感じたのが他のランニングシューズとは異なる違和感でした。
悪いものではありませんでした。
スタッフさんと目が合い、直感的に声に出したのが、
「優しいですね」
ターサージャパンは日本で製造されているシューズと聞きますが、日本人に合わせた型からか、自分の足型に気持ちよくフィットします。
柔らかく優しく足を包み込んでいるような独特のフィット感はこれまでに体験した事はありませんが、懐かしい心地良さみたいなものを感じさせられました。
これまでにいくつものランニングシューズを履いてきましたが、ターサージャパンのようなフィット感は初めて。その後ショップ内を軽く歩いたりジョグさせてもらい、購入する運びとなりました。
もちろんターサージール6も一緒に。やっぱりターサージール6も履きたかったのです。笑
ターサージール6との比較は別途にして、今回は、ターサージャパンについてレビュー致します。
ターサージャパンレビュー
ターサージャパン(TARTHER JAPAN)はアシックスから2000年に発売されたターサーシリーズのフラッグシップモデル。発売からこれまでに細かな改良は行われていますが、一貫して靴型は変えていないと聞きます。
逆にターサージールの方が定期的な改良が行われているよう。開発の過程で日本人の足型を長年取っていく中で、最近の日本人の足は確実に細くなっていることが統計として出ているようで、それに合わせてターサージールは少しタイトな作りに替えているようです。
デザイン
アシックスのランニングシューズのデザインは正直好き嫌いは分れる気がします。個人的にはあまり好きではなく、これまで敬遠してきた節がありまして、足入れ感は良いらしいけどデザインが好みじゃないから履きたくない。そんなブランドでした。
特に色使いが好きになれず、派手さを追求しているのか分かりませんが、「なぜこの色を持ってくるのだろう・・・」「この色とこの色のグラデーションって・・・」「この素材の光沢必要?」みたいなシューズが多く、それを個性といえば個性なのですが、自分のようなセンスの無い人間にはウェアともうまく合わせられません。もっとスタイリッシュにというかシンプルな中での格好良さを追求してもらいたいです。
そんな私がアシックスのシューズを履くきっかけとなったのが、今年の3月に購入したメタライドが圧倒的に素晴らしかったから。
【ASICS METARIDE(アシックスメタライド)】30km走や3時間LSDを含む150km走ったのでレビュー!疲れづらさは只者じゃない!!
メタライドは早く走れるシューズではありませんが、ジョグ用シューズとして大活躍しています。
足入れ感の素晴らしさ、コンセプト通りで長距離走っても疲労しづらく、インターバルやペース走の翌日の足が重たい時に走る距離走用のシューズとして重宝しています。
こんなに素晴らしいシューズを開発するアシックスのレーシングシューズというのは一体どんなものなのだろうというところからターサーに目を向けた流れです。
ターサージャパン(ターサージール6も)には、ありがたいことにポイント部分で赤が使われているだけのブラックモデルが用意されておりましたので、カラーについては迷うことなく一択でした。
ターサージャパンの靴型は他のランニングシューズと比べてかなり幅広に作られています。
私は通常26.5cmのシューズをベースにチョイスしていますが緩く感じましたので、スタッフさんに緩すぎる?と確認をとりチェックしてもらいましたが、「これで大丈夫」とのことでしたのでそのまま26.5cmを購入しました。
ターサージャパンの特徴
反発性
ミッドソールには着地時の衝撃を和らげるとともに、蹴り出し時の反発性を発揮して走りをサポートするSpEVA(スピーバ)が採用されています。
SpEVAは衝撃緩衝性を維持したまま反発性を向上させる目的として開発されており、衝撃緩衝性は素晴らしいが、反発性がなく蹴る力を吸収されてしまうという課題を見事に克服した素材です。
グリップ性
ターサーといえばこのディオソールという靴底についている粒々の素材。地面をしっかり踏み込んで蹴れる強いグリップ感は一度履くと癖になります。
発売当初のターサージャパンはディオソールの形状が小さく削れやすかったようで、耐久性重視で丸く大きな形状に変更。その際に滑りやすくなったという評価を受けたことから、耐久性とグリップ性を両立させようと試行錯誤し、いまのテトラポッドのような形になったと聞いています。
クッション性
かかと部にはGELが内蔵されています。これによって衝撃を和らげてくれるので、フルマラソンなど長距離レースにはありがたく感じます。もちろんGELによって多少重さがかさみますが、フルマラソンの30km以降で足が終わってしまうリスクを考慮し、GELを活かして足への負担の少ない走り方を選ぶのも有りです。
安定性
アーチ下がえぐられたスプリングミッドソールを支える樹脂製パーツにより、走行中のねじれを抑え、剛性が高まり、安定性をアップさせています。
重量
ターサージャパンの重量は26.5cmで右足209.0g、左足208.0gです。
サブ3など高速レーシングシューズとしては200g超えは少し重く見えますが、履いた感触としてはフィット感が高いせいなのか重く感じることはなく、走っていて違和感を感じることはありませんでした。
ちなみに前回サブ3.5を達成した際に履いたアディゼロジャパンも200g前後ですから私自身が履くシューズとしてはこの辺りの重量のものが一番適正なのかもしれません。
もちろんアディゼロ匠戦やターサージールの圧倒的軽さから得られるスピードも魅力ですが、疲れづらいという観点では多少の重量があってもクッション性は重要です。
走行感
それではターサージャパンを履いて走ってみた感想です。
履き心地
まず緩く感じた履き心地について。
これまでどんなランニングシューズを履いても足のどこかが当たる部分があり、長い距離を走り続けていると当たっている部分にマメができたり爪にダメージを受けたりしていました。特に爪へのダメージはひどく、形は変形してしまうし色は黒くなってしまうしで、これは職業病みたいなものと諦めていた感があります。
ターサージャパンで走ってみたところ、指や爪がシューズと干渉してダメージを受けるという印象はなく、10km走っても15km走ってもフィット感による痛みを感じるような部分はありませんでした。
もしかしたらターサージャパンだけを履き続けたら変形した爪・黒くなってしまった爪が元に戻るかもしれないという期待を持てるレベルです。
なお、指周りは遊びがありますが、「緩いシューズを紐できつく締めてごまかしている」とは異なります。きちんとしたフィット感の中で、指周りにも余裕があるという感覚です。ですので紐をきつく締めても指周りの遊びはなくなることはありません。指が遊んでしまうのが嫌だと感じる方には合わないと思いますが、指の怪我などに悩んでいる方はぜひ検討してもらいたいシューズだと感じます。
走行感
ターサージャパンを履いて走ってみた感想ですが、幅広いペースの中で気持ちよく走ることができるというのが最初に感じた印象です。
3:50〜6:00/km程度の速度で走っていますが、速度を入れた時の足運びも軽いですし、速度を落としてもそれなりのクッション性があるためスムーズに走り続けられます。
SpEVA(スピーバ)による反発効果も素晴らしく、クッション性があるもののきちんと跳ね返ってくれますので、足がスムーズに転がっていくのが良いですね。
ちなみに200m・400mのインターバルなど、全力で走るスピード練習では、指周りの遊びが気になってしまい違和感を感じました。短距離走やスピード練習ではもう少しピシッとフィットするシューズの方が走りやすいのかもしれません。
ある程度のスピードに対応でき、さらにはクッション性・反発性も高い。ショップスタッフがサブ3程度ならターサージャパンで行けますよ!と言われてましたが、実際に履いて納得が出来ましたし、購入して本当に良かったと感じます。
ターサージャパンを履く前は、2000年の発売から約20年間大きな改良がなされていないことに対して違和感を持っていました。当たり前のように研究・検証を繰り返して進化し続けているシューズの方が良いに決まっているだろうと思ってましたが、変更が無いのには無いなりの明確な理由があることを理解できた気がします。
これから主力シューズとして活躍してもらいます。
1 件のコメント