アディダスのランニングシューズ、アディゼロボストン10です。
アディダスのランニングシューズには「アディゼロ」という大きなカテゴリがあり、その中でアディゼロプロ、アディゼロ匠戦、アディゼロジャパン、アディゼロボストン、アディゼロベコジ、アディゼロRCなどのシリーズに分類されています。
その中でアディゼロボストンシリーズは、フルマラソンなど長距離を走る事を目的にフルマラソン完走からサブ4をターゲットにしたランニングシューズで、これまで定期的なブラッシュアップの中で進化してきました。
今回のアディゼロボストン10は、以前のボストン9までのモデルから大幅なフルモデルチェンジが行われ、「本当にボストンなの?」と感じるレベルのシューズに生まれ変わっています。
この記事ではアディゼロボストン10のレビューと合わせ、他の関連シューズとの比較をしていきますので、ボストン10が気になっている方はぜひ読み進めてください。
目次
アディゼロボストンの仕様・外観と特徴
まずはボストン10の仕様・ターゲット・外観と特徴を紹介していきます。
仕様
- 爆発的推進力を生み出すグラスファイバー素材を用いた5本骨状バー
- LIGHTSTRIKE EVAとLIGHTSTRIKE PROのコラボによる低密度高反発ミッドソール
- 実績のあるContinentalラバーによる高いグリップ性能
- 重さは26.5cm 288gと重量級だが重みをあまり感じさせないフィット感
- 軽量性、フィット性、サポート性に優れたメッシュアッパー
シンプルにアディゼロボストン10がどんなシューズか解説すると、近年のトレンドである厚底である事と反発力の高いシャフトを兼ね備えたランニングシューズです。
履いてみた感想で詳しく述べますが、実際に履いて走ってみると、クッション性重視よりも反発と前への推進力に振ったシューズだと感じました。
ターゲット
アディゼロボストン10のターゲットは幅広く、まず5本骨状バーを搭載したことからも感じられるようにアディオスプロの練習用シューズとしての履くことがイメージされています。
アディオスプロはガチなレーシングシューズとなるので、走行寿命は200km、もって300km程度でしょう。そして価格は26,000円と高額です。
さすがに2~300km程度しか走れない高級ランニングシューズを練習で履くのは難しいですから、定期的に買い替えられる値段でありつつ、耐久性の高い練習用シューズとしてアディゼロボストン10が存在するイメージです。
合わせて、様々なパーツや作りを見ていくと、サブ4~フルマラソン完走を狙う、ランニング初心者に向けての配慮も強く感じられます。
サブ3以上を狙うシリアスランナーの練習用シューズから、フルマラソン完走ランナーまで幅広く対応したランニングシューズだと見受けられます。
外観と特徴
アディゼロボストン10の走行感と履き心地
アディゼロボストン10の履き心地を、ボストン9やペガサス38と比較しながら解説していきます。
ボストン10とボストン9の比較
これまでアディゼロボストンと言えば、ブースト素材によるクッション性がウリで、かつ程よい重さで快適に走れるフルマラソン用シューズという印象がありました。
ボストン10は、前ボストン9から比較するとより厚底になり重さも26.5cmで約240gから288gへと重くなりました。
写真で見る通り、ディテールからしても全く違う種類のシューズだと感じられます。
実際、約50gほどの重みが増したことで、シューズを履いた時に軽さは感じられず、どちらかと言えば重ためのシューズに感じます。
ただ履いて走ってみると、フィット性が高いためか重さが邪魔すること無く、ボストン10でもスピードに乗った走行がストレスなく楽しめます。
余談ですが、ボストン10で走った後にボストン9に履き替えて走ると、ボストン9は裸足で雨で湿った柔らかい土の上を走っているような感覚に陥りました。
え?ボストン9ってめちゃくちゃ走りやすいシューズだったのにこんなに印象変わっちゃうの?
くらいの感覚を持ちました。
ボストン10とナイキペガサス38・ズームフライとの比較
ライバルシューズとして浮かび上がるのは、ナイキのペガサス38です。
>ペガサス38 レビュー・ランニング初心者からフルマラソン完走を目標のランナーにおすすめの一足
ペガサス38とボストン10を比較すると、圧倒的にペガサス38がクッション性を意識したシューズ、そしてアディゼロボストン10は、クッションよりも高反発による前への推進力に振り切ったシューズになっています。
よりクッション性を求めるのであればペガサス38、高い走行感を求めるのであればボストン10という分類で問題ありません。
クッション性はほどほどに、前へと進む推進力を感じさせるという観点では、ナイキのシューズではズームフライに近いような印象を受けます。
>ズームフライ3レビュー・グングン前へ進んでいく感が素晴らしいナイキ厚底シューズ・履いた感想・走り方
アディオスプロの練習用シューズとして
反発性能という観点では5本骨状バーの効果もあり、上位モデルのアディオスプロのような印象を受けました。
もちろん、アディオスプロの様にスピードに振り切ったサブ3以上向けモデルではなく、サブ4以降の幅広いランナーをターゲットに安定性や保護性を高めたシューズです。
爆発力という観点ではアディオスプロの方が圧倒的に上ですが、一般的なサブ4~サブ5向けシューズをこれまで履いていたランナーがボストン10に履き替えたら高い推進力を感じられることは間違いないです。
練習ではボストン10、本番でアディオスプロを使用するといった使い方をアディダスは想定されているのかもしれませんね。
アディゼロボストンのスピード感覚・アディゼロジャパンとの使い分けは?
数字的なところで例えると、私のVDOTは51で、VDOTから見るEペース走の速度は4:52-5:29/kmです。
実際、このペース幅だと5:30/km前後ではイージーランニングになるけど、4:50/km前後になるとイージーではないeペースになります。
アディゼロボストン10を履いて走ると、4:50~5:00/kmの速い速度でのeペース走でも心拍的にイージーに感じられ、ランニングシューズとしての高い性能を感じさせられました。
キロ4:00/km前後まで速度を上げていくと、5本骨状バーの高い反発効果がより感じられ気持ちよくスピードに乗る事が出来ます。
普段のeペース走では、10kmほど5:00/km前後で走った後、最後1kmは3:40/km台まで上げて刺激を入れるようにしていますが、そういった速度変化にも十分に対応してくれるシューズだと感じ取れました。
ボストンシリーズはジョグや長距離練習に向いたシューズだと言われがちですが、スピード走までしっかりと対応できるシューズだと言えるでしょう。
とは言いつつ、アディダスからはアディゼロジャパン6というシューズも発売されており、短距離スピード練習をするのであれば、ジャパン6の方がより適性があります。
ボストン10のみでも様々な練習シーンに耐えられますが、2足準備出来るのであれば、下記のような履き分けがベストです。
アディゼロボストン10
- 普段のジョグペースからeペース走
- 20kmを超える長距離走
- ハーフ~フルマラソン本番レース
アディゼロジャパン6
- インターバルやレペ、域馳走などのポイント練習
- 20kmまでのペース走
- ~ハーフマラソン本番レース
普段の練習用にも本番レース用にも申し分ないランニングシューズ
アディゼロボストン10を紹介してきました。
アディゼロボストン10は、これまでのボストンシリーズとは全く異なる進化を遂げ、ランナーの足をしっかりフォローしつつも高い反発性能を持つランニングシューズになっています。
保護性も高い為、フルマラソン初挑戦からサブ4を狙うランナーには申し分ありませんし、サブ3.5、サブ3を狙うランナーの練習用シューズとしても最適です。