Onからカーボンファイバープレート搭載のシューズ「Cloudboom(クラウドブーム)」が2020年7月に発売されました。
スイスのアルプスで生まれたOnは、クラウドテックという革新的なソール技術を武器に「雲の上を走れるような感覚のランニングシューズ」をコピーで人気を集め、また性能だけでなくデザイン性の高さから、日常のシューズとしてもファンの多いブランドです。
Cloudboomは、クラウドテックをミッドソールに交互に配したツインクラウドテックにカスタマイズし、ツインとなったクラウドテックの間にカーボンファイバープレート「Speedboard」を内蔵し、爆発的な蹴り出しを生み出せるのが特徴。
On史上最速のレーシングシューズとしてだけでなく、抜群のクッショニングと快適性が実感できる、10km〜フルマラソンなど長距離レースに対応したシューズです。
履いた瞬間、Onがカーボンファイバープレート入りシューズを作るとこうなるのかと、感動してしまいました。改めてレビューします。
目次
Cloudboom(クラウドブーム)の特徴
Cloudboomの特徴は大きく以下の通りです。
- 二層となったTwin CloudTecによるクッショニング
- カーボンファイバー搭載のプレート:Speedboard
- 通気性に優れたエンジアードメッシュ
- グリップ性が高く雨でも滑りづらいアウトソール
デザインと合わせて紹介いたします。
外観
私がCloudboomを見て最初に感じたのはフロントに向けて反り返ったデザインです。この反り返りを活かした転がるような走りが期待できます。
二層となったTwin CloudTecによるクッショニング
クラウドテックというのはソール部分のデコボコとしたブロックパーツのこと。
クラウドテックのひとつひとつが中空のブロックになっており、接地の際に設置したブロックのみがつぶれ、蹴り出しの際はつぶれたブロックがバネのように復元。これによって走行時の衝撃を吸収するとともにパワフルな蹴りだしを実現します。
カーボンファイバープレート:Speedboard
クラウドブームでは、二重のクラウドテック構造となっていますが、その間に挟まれるように仕込まれれているのが、Cloudboomの最大の特徴であるカーボンファイバープレート「Speedboard」です。
サイドやアウトソールからカーボンファイバープレートが見えるデザインというのも面白く、Onならではのデザインと言えるでしょう。
グリップ性が高く雨でも滑りづらいアウトソール
ソール素材の紹介ついでにこれまでのOnのシューズと比べて機能強化されたと感じたのが、アウトソールの素材がよりグリップ感の高いラバー素材に変わっています。
写真はCloudflowとの比較。
素材感と合わせて新しいトラクションパターンで変化を入れることにより、これまで以上にグリップ力が高まっています。雨の日の走行も安心ですね。
余談ですが、Onのシューズは後ろから2列目のクラウドテックに「雲」のデザインが刻まれています。
走行距離を重ねていくとソールがすり減っていきますが、こちらの雲が見えなくなってしまったタイミングがシューズの替え時と言われています。
こちらは600km走り寿命を迎えたCloudflow。
見事に雲のマークが消えていますね。
ご参考までに。※フォアで走る場合はこの限りではありません。
軽量で通気性の優れたエンジアードメッシュ
アッパー素材は、前足部と左右にエンジニアードメッシュが採用され通気性の良い作りになっています。
Cloudflowと並べても、Cloudboomは左右も含めてしっかりエンジニアードメッシュですね。
差し込む光で、通気性の高さが伝わるかと思います。
最近エンジニアードメッシュが採用されたシューズが増えてますが快適ですよ。
こちらはかかと部分。
シューズの中で足をしっかりと固定させるよう出っ張りが設けられています。
Cloudboomを履いてみた感想
フィット感ですが、同じOnのCloudflowと比較すると少し細めに作られており、よりフィット感が増しているように感じました、細めと言ってもナイキやアディダスのシューズような締め付けるようなキツさはありませんので履いてて圧迫されるような苦しさはありません。
下の写真は、Cloudflow26.5cmとCloudboom27.0cmの比較。
Cloudboomの方がサイズがワンサイズ大きいにも関わらず細身に作られているのが分かりますね。
サイズは、普段から少し緩めのシューズをチョイスしている方であれば同等サイズで問題ないと思いますが、普段ジャストサイズを選ばれている方ならハーフサイズ上げても良いかもしれません。私はワンサイズ上のサイズをチョイスしました。
重量
走行感
さて実際の走行感ですが、Cloudboomを履いて感じたのが、跳ねるような弾力感です。
クラウドテックで作られたソールは、元々着地の柔らかさと爆発的な蹴り出しがウリですが私の中では柔らかすぎないのが良いと思っています。
柔らかさにもバリエーションがあって、タイヤで例えると空気の抜けた柔らかさって嫌ですよね。クラウドテックは空気の詰まったタイヤで転がるような走りが出来るのが二重丸です。
そのクラウドテックの間にカーボンファイバープレートによるSpeedboardが入ったことによって、よりキビキビとしたバネ感を感じられるようになりました。
また、このようなカーボンプレートが入ったスピードをウリにしたシューズは、フォアフットで最大の効果が期待できるように作られているものが多いです。Cloudboomもフォアから入ることによって素晴らしい反発力を感じましたが、よりバネ感を感じられたのがヒールストライクによるかかとから着地した時。
キロ5:30〜6:00前後のサブ4前後のペースでかかとから足を落としてあげると、安定感を保ったままバネのような反発で前に進めるんですね。
「かかとから落とす、跳ねる、前に進む」みたいな。
ナイキのヴェイパーネクスト%と比較すると、ヴェイパーネクスト%の場合はクッションが柔らかすぎて、かかとから入ると安定感を損ねグラついてしまう感覚がありますが、Clowdboomは安定感を損ねずに反発で走れるという差です。
また、かかとから入れる安定感というのは、フルマラソンなど長距離を走っている時の後半に本領を発揮します。とにかく足を着地してあげれば反動で前に進めるというのは、体力的にはもちろん精神的な側面でも大きな価値です。
Cloudboomの対象ランナーは幅広い
一般的にカーボンプレート搭載の高速シューズはサブ3、またはそれ以上のランナー向けに開発されていることが多いですが、Cloudboomに関しては対象ランナーを気にせず幅広い層で活躍できるシューズだと感じました。
私の走力では4:15〜4:30前後での走行が心地よく走れましたが、当然それ以上のスピードがシューズ開発の目標だと思いますし、また、ジョグペースでも十分にカーボンプレート&二重になったクラウドテックの恩恵を味わえるシューズだと感じました。
タイムを狙うシリアスランナーはもちろん、走力は低いけどカーボンプレート搭載シューズを試してみたいというランナーに間違いなくお勧めできるシューズです。
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