本番レースでも練習でもバランスよく履けるシューズが欲しい。練習では負荷の高いスピード練から普段のジョグ、長距離走などでも一足でマルチこなせるシューズが良い。
そんな方におすすめしたいのが、アディゼロジャパンというアディダスから発売されているランニングシューズです。
アディゼロジャパンの守備範囲は広く普段のジョグペースからマラソンペース、またインターバル走など幅広く使えるとともに、フォアからの着地でもヒールからの着地でも幅広いランナーに受け入れられるシューズ。
その最新モデルであるアディゼロジャパン5を紹介します。
目次
アディゼロジャパンというシューズについて
アディゼロジャパンは、アディダスのラインナップの中ではサブ3.5〜サブ4向けという位置づけでありつつも、アスリートが履くレーシングシューズとしても高い実績のあるシューズ。このアディゼロジャパンでこれまでに何度も世界記録が塗り替えられてきました。
2008年に、エチオピアのハイレ・ゲブレシラシエェが2時間3分59秒というフルマラソンの世界最高記録を樹立。2011年には、パトリック・マカウ(ケニア)が2時間3分38秒で記録を更新。またさらには2014年にデニス・キメット(ケニア)2時間2分57秒で記録を塗り替えるなど、とんでもないレーシングシューズです。
私自身はアディゼロジャパン4からの付き合いですが、2019年3月の板橋Cityマラソンで履き、念願のサブ3.5を達成した思い入れのあるシューズです。
ランニングが趣味になってくると、練習によってシューズを履き分ける様になります。
短距離ポイント練習で履くシューズ、ある程度の距離をペースを上げて走るシューズ、長距離をペースを落として走る際に履くシューズ、そして本命のレースで履くシューズなどなど。
シューズを履き分ける理由は、その練習(ランニングシーン)においてベストなシューズをチョイスすることとで、練習効率を上げたり怪我予防に繋げることが目的です。
あわせてシューズを履き分けることで、自然とシューズのローテーションを回すことができるので、シューズ寿命を持たせることにも繋がります。
アディゼロジャパン5レビュー
では実際にアディゼロジャパン5をレビューしていきます。
私のランニングシューズの使い分け
私のランニングシューズの使い分けは、以下の4つの使い分けをしています。
- 本番レース用シューズ
- レペやインターバルなどの短距離ポイント練習用シューズ
- 域馳走~ペース走、また速いペースでのeペース走用のシューズ
- 普段のジョグ用のシューズ
アディゼロジャパンは、この中で3番に属するシューズで、心拍強度を高める域馳走からマラソンペースでのランニング、それとともに普段のeペースジョグの中でも早めのジョグで活躍してもらっています。
実際はそこまで細かく分類していませんので、なんとなく頑張ろうという日はアディゼロジャパン。そんな感じです。
ランニング中に気分が乗ってペースを上げる際、ハイペースでもしっかりと走れるシューズ。そんな感覚でしょうか。
ブーストによる保護が素晴らしい
かかと部分のでこぼことしている素材がブーストフォーム。ブーストフォームとは、『アディダス』が開発したクッション素材のことで、特徴は、何といってもその高い衝撃吸収性と反発力。
ブーストフォームが初めて起用されたのは、2013年に発売されたエナジーブーストというシューズから。パフォーマンスの良さから高い支持を得て、現在のアディダスの主力ラインナップにはブーストフォームが採用されています。
下の写真は、アディダスのシューズのブーストフォームのバランスです。
上のウルトラブーストPBはソール全体にブーストフォームが敷かれてますが、アディゼロジャパンはリア(かかと周り)をメインにブーストフォームが採用されていますね。
フロント側にもブーストを配置していますが、周囲をLIGHTSTRIKE素材で囲うような作りになっております。
全てをブーストフォームにしてしまうと、柔らかくなりすぎてしまうので、上段にはLIGHTSTRIKE(ライトストライク)という従来素材EVAより40%軽量となった素材で囲んでいます。
LIGHTSTRIKEは軽量であるとともに反発性能の高い素材。
フロント側のブースト素材を最小限にして、LIGHTSTRIKEで囲うことで、最低限のクッション性を配慮しつつ、反発性能を高めている仕様です。
また一番下のアディゼロ匠戦6はフロントのみに薄いブーストフォームが敷かれているように見えますね。リアはLIGHTSTRIKE素材のみの作り。
ちなみにフロントのブースト内には硬めのシャンクが配置されて跳ね返りを強めています。ブーストによる最低限のクッションを貰いつつ、反発をダイレクトに貰う仕様で、よりフォアフットを前提としたスピードを出しやすい作りになっています。
素材の配置からもアディゼロジャパンがバランスを重視したシューズである事が伝わってきます。
新品のタイヤで走っている感覚(コンチネンタルラバー)
アウトソールにはコンチネンタルラバーという素材が採用されていますが、この素材は自動車やレース用の自転車に採用されているもの。様々なコンディション下でも高いグリップ力を発揮しスリップによるエネルギーロスを軽減してくれます。
新品のタイヤで走っているときに感じる地面に対しての「ねばり」ってありますよね。滑りやすい環境でもこのラバー素材がしっかりとグリップしてくれるので、安心して走れるだけでなく、疲れづらさにも繋がってきます。
雨の日や道路が濡れている状態でもしっかりと地面を噛んでくれるので、安心して走れます。
シューズの重さ
左から匠戦6、アディゼロジャパン5、ウルトラブーストPB。
全て26.5cmですが、アディゼロジャパンは217.5gとバランスの良いポジションにいます。フィット感も高いので、このシューズを履いて重たいと感じる方は少ないと思います。
アディゼロジャパン5の履き心地
アディゼロシリーズは、2020年に登場したモデルから足入れ感が大幅に変わりました。
シュータンの形状が大きく変わって、シューズの中に伸縮性のある袋があり、その中に足を入れる感覚です。
それによってシューズ内での足のフィット感が高くなり、足にシューズが吸い付いているかのような感覚で走ることができます。
元々軽めのシューズですが、フィット感が向上したことによって、よりシューズの重さを感じない仕様になりました。
実際の走行感
私の場合、普段はつま先から着地するフォアフットで走っていますが、緩めのジョグペース時は踵から着地する走行(ヒールストライク)に切り替わります。
アディゼロジャパン5で実際に走ってみて感じたのは、フォアフットで入ったときは、LIGHTSTRIKEによる反発をダイレクトに貰い、より跳ね返りの高いシューズとして、ヒールから入ったときは、ブーストの恩恵によって高いクッションを貰いながら走れる感覚です。
フォア側から入る場合、足全体でクッションを作っていくため、シューズ側のクッション性は低い方が反発を多くもらえます。
おかげでキビキビとした走行感でスムーズにスピードを乗せられます。
逆にヒールから入ったときは着地時の衝撃をダイレクトに食らうため、膝の疲労に繋がり故障の原因にもなるわけですが、ブーストのおかげでしっかりと衝撃を吸収してもらえます。
実際このシューズの特徴として、前モデルと比較して前足部とかかと部との高低差が1~2㎜高く設計されいます。より前足部で着地をしやすく、スムーズに前への重心移動を促す設計へと進化しているのです。
またフルマラソン時に良く感じることですが、疲労が溜まってきているときに、ブーストフォームの柔らかいクッションと反発を意識するだけで前に進んで行けるのは本当にありがたいです。
それと合わせ、アウトソールの新品のタイヤの様なグリップ力、ブーストフォームによるクッション性の効果から疲労が溜まりづらいです。
先日、アディゼロジャパン5を履いてフルマラソンの距離を走ってきました。
実はこの日の前日まで14日間連続で走り続けており、15日目の連続ランでした。
ペースは5:24/kmとさほど上げていませんが、
- 8月というクソ暑い時期であったこと
- 久しぶりのフル距離であったこと
- 15日間走り続けている中でのフル距離であったこと
を考えると、この環境下で最後まで足が終わる事なく走り切れたことに、シューズの性能の高さを感じられずにはいられません。
また、フル距離を走った翌日は休足を入れていますが、二日目からはランニングを再開できていることを考えると、アディゼロジャパンが疲労を蓄積しづらいシューズである事が感じ取れます。
まとめ
アディゼロジャパン5を履いて感じるのはバランスがずば抜けて優れている事。
ジョグも、スピード練習も、長距離も全てが高水準でこなせる対応力の広さがあるので、私の様に練習メニューによって履き替えるランナーはもちろん、とりあえずランニングシューズを一足という方にも間違いない選択になります。
またフォアから入るランナーでもリアから入るランナーでも、どちらでも気持ちよく走れる仕様になっている事も良いです。
それと合わせて、このシューズならではの疲れづらさ。負荷の高いトレーニングを積めば、当然休足も多めになりがちですが、負荷を上げても疲れづらいため、高いレベルのトレーニングを継続して行う事ができます。
本番シューズとしてはもちろん、それ以上にトレーニングシューズとして素晴らしい活躍をしてくれるシューズである事間違いありません。
以上、アディゼロジャパン5のレビューとさせていただきます。
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