ナイキの厚底シューズ(正式名称はナイキ ズームX ヴェイパー フライ ネクスト%)が規制される旨の話題が、イギリスのいくつかのメディアが発表したことにより日本にも広がって注目されていますね。
規制が入る入らないといった話は1年くらい前から出ていましたが、ヴェイパーフライがあまりにも高性能過ぎるため、世界陸連が競技大会での使用を禁止することを検討してるとか。
具体的には国際陸連の規則では、「競技に使用されるシューズはすべてのランナーが合理的に利用可能でなければならず、不公平なサポートや利点を提供するものであってはいけない」とあり、これに抵触するかが焦点となっているようですがどうなんでしょう。
「すべてのランナーが合理的に利用可能」、「不公平なサポートや利点を提供するものであってはいけない」と言ったキーワードがありますが、
「すべてのランナーが合理的に利用可能」 = ちょっと高いけど誰でもお金出せば買える訳で、全てのランナーが合理的に利用可能な気がします。
「不公平なサポートや利点を提供するものであってはいけない」 = 選手だけ特別仕様なヴェイパーフライを使用しているならともかく、同じヴェイパーフライを履いているのであればどこに不公平なサポートや利点が提供されているのかよく分かりません。
そんな気がしています。合理的に利用可能だし不公平でもない気がするのは私だけでしょうか。
他のメーカーと契約しているエリートランナーはヴェイパーフライを履けないから不公平というキーワードを見かけますが、それは反対にナイキと契約しているエリートランナーは他のメーカーのシューズを履けない訳ですから成立はしません。
実は1/16の夜、皇居ランに行った際、ランステにてヴェイパーのニュースに関しての取材が入ってまして、たまたま私も取材を受けました。結局テレビには映っていませんでしたが以下のような話をしました。
- 自分も履いてて凄いシューズだとは感じているけど、ヴェイパーフライが禁止になったらこれまでに履いて成果を出したランナーが本当に報われない。
- 努力を積み重ねてきた結果が大半なのに、言われるのは「禁止になったシューズで出した記録ね」はかわいそすぎ。
- 数十年前に現代の一般的なランニングシューズをトップランナー達が履いたら今回と同じような記録更新が出まくって、同じような問題として騒がれたと思う。
- 時代とともに進化するものだと思うし、その中で規制をかけるのであれば、ヴェイパーフライを禁止するではなくスタンダードとして規制値を考えるのが良いんじゃないかと思う。
ちなみにこの問題、もし規制がかかって使用禁止になってしまったら、ナイキよりも他メーカーの方がキツいはず。当然ナイキに追いつき追い越そうと各メーカーががっつり投資して研究開発を進めている訳ですよね。
このタイミングで規制が入る事になれば、規制範囲によってはこれまで投資してきたお金と労力が水の泡。ナイキは既に投資した分の収益はがっつり回収してると思うけど、他メーカーは製品化する前に規制によって販売すらできなくなる可能性がある訳ですから。
ナイキが規制されるだけに見えるけど、ナイキは既に勝ち逃げ状態に入ってて他メーカーは完全な負け組の構図なんですよね。
ついでに言うとヴェイパーの人気は今に始まったことではなく、数年前からトップランナーたちはこぞって履いている訳で、そう言ったトップランナーのデータの多くがナイキに集約されている状態だから、今回規制が入ったとしてもナイキの一人勝ちな独走態勢は当分続くのではと個人的には思っています。
個人的にはナイキが一人勝ちとなった最近のレース、特にMGC、ニューイヤー、箱根駅伝はとても面白かったですよ。
箱根駅伝に関しては80%以上のヴェイパーフライを履いて走った訳で、これだけ皆が平等に同じシューズを履いて勝負したレースって過去に無いですよね。記録更新は別として、ガチな実力勝負だったのは間違いなく、本当に強いランナーが勝ったレースだったので。
個人的には今後数年はナイキの一人勝ち状態が続き、それに近づくために各社が必死で追いかけるという構図をイメージしていました。各メーカーの努力が新しい技術革新に繋がっていく事が一人のランニングユーザーとして楽しみにしましたが、もし規制が入ってしまったらどうなるのでしょうね。
どういう形になっても、その時々において一番自分に合うシューズを見つけて楽しもうと思います。
それかどんな規制にも耐えうる足を作るために、足袋やワラーチなど、最低限の足の保護だけの機能に特化したもので走るってのもありかもしれませんね。
これでサブ3達成したらかっこいい気がしてきました。