せっかくランニングシューズを購入するのであれば、自分の足や走りに適したシューズを選びたいものです。
履き心地はもちろんですが、クッション性や反発性、軽量性などを追求したシューズも多く発売されていますので、ランニングシューズの性能を見極めつつ推しの一足を選びたいですね。
この記事ではランニングシューズにおける性能の考え方と各パーツの役割や関連性についてお話します。
目次
クッション性・反発性・安定性・軽量性の相互関係について
ランニングシューズの性能を図る上で、クッション性と反発性が重要な要素となります。それと合わせて、安定性や軽量性という性能も重要ですね。
最近のシューズでは、クッション性と反発性を両立をうたうシューズが増えてきていますが、実はこの二つの性能は、全く逆の性質を持つものであり、
- クッション性が高い:柔らかさが必要になる為、反発力は落ちる、安定性も下がる
- 反発性が高い:硬さが必要である為、クッション性は落ちる、安定性は高まる
という関係に成り立ちます。
イメージしやすいのが、ボールをバウンドさせた時の跳ね方を想像してもらうと良いかもしれません。
仮に柔らかい布団の上でボールをバウンドさせようとしてもほとんど跳ねる事はありません。それは布団がクッションになり、ボールが跳ね返る衝撃を布団が吸収させてしまっているから。そしてどこに跳ね返るかもわかりませんよね。
逆にコンクリートなど硬いところにボールをバウンドさせれば、強い反発力を得てボールが跳ね返ってきます。また基本的には同じ位置に跳ね返ってくることがイメージできるかと思います。
なお、シューズの厚さから見ると、クッション性・反発性・安定性・軽量性のバランスは以下の様になります。
- シューズが薄ければ反発性が高まり軽量になる、安定性は増す
- シューズが厚ければクッション性が高まり重たくなる、安定性は下がる
市販されているランニングシューズは、それぞれが対象となるランナーの走力や筋力、また何を求めているかによって上記のバランスを配慮し設計されているのです。
ランニングシューズのパーツの役割
代表的なランニングパーツの役割を解説します。
アッパー
アッパーは、ランニングシューズの表側にあたる部分で、雨や小石など様々なものからの保護と合わせて走行を安定させるために足全体をホールドさせるパーツです。
アッパー形状や使う素材によって走行感は大きく異なります。
ホールド感を強めて安定性を高めれば窮屈な履き心地になってしまい、最悪マメが出来たりと怪我の要因にもなります。逆に弱めれば力が分散されて走りづらいものになってしまうでしょう。
また、素材によって通気性が高いもの、雨天時でも雨が中に入りづらいもの様々。近年ではエンジニアードメッシュに代表される通気性が良く軽い素材で作られたシューズが人気です。
ミッドソール
ミッドソールはアウトソールの内側にあり、着地の衝撃を吸収し、吸収した力を反発力に変える素材。また小石やガラスなど鋭い突起物が貫通して足に突き刺さないように、足の裏を守る役割もあります。
以前はEVAと呼ばれる素材を使っているシューズが主流でしたが、近年はどのメーカーも独自開発を行っており、アディダスであればLightStrikeやBoostフォーム、ナイキであればzoom-Xやリアクト、アシックスであればSpEVAやFlyteFoamなどがあります。
ミッドソールが厚いほど、着地時の衝撃を和らげ足への負担は減りますが、クッション性が高くなればなるほど反発性は落ちます。そして重たくなります。
逆に薄ければ薄いほどクッション性は落ちるものの反発性は高く軽量になるため、スピードのあるランナーは薄いソールのシューズを好んで履いていました。
しかし近年では、ナイキのヴェイパーなど、厚底にも関わらず軽量で圧倒的な反発力のあるシューズが続々と登場してきて話題になっていますね。
アウトソール
アウトソールは車で例えるとタイヤにあたり、地面とシューズが直接当たり合う部分です。
アウトソールのグリップ性能が高ければ地面をしっかりと噛んで蹴り出してくれますし、雨の日でも滑らずに走ることができます。
逆にアウトソールの性能が弱かったりすり減った状態になると滑ってしまい走りづらさを感じてしまいます。
アウトソールの素材や形状は書くシューズ様々。各シューズブランドが走るシーンやランナーの走力に応じたアウトソール形状や素材を開発しています。
シャンクプレート
シャンクは、硬い素材でできている背骨の様なパーツで、走行中の不安定さを防ぐとともに、このシャンクプレートが反発力を生み出す原動に繋がります。
長距離を走っていると、疲れのため着地から蹴り出しが不安定になりますが、シャンクプレートは足のねじれを軽減してくれる機能を持ちます。
体重がかかってシューズが反ったりねじれたりしたときに、板バネのような感覚で元に戻ろうとして強い力が生み出されます。
ちなみにカーボンプレート搭載のシューズではシャンクとは呼びません。カーボンプレート自体がシャンクの役割を持っています。カーボンで作られたシャンクのことをカーボンプレートと呼んでいると解釈して問題はないはずです。
ヒールカウンター
ランニングシューズではかかと裏が硬くなっていますが、この部分をヒールカウンターといい、かかとを補強しているパーツになります。
ヒールカウンターに、プラスチックなどの硬い素材を使うとともに履き口にパッドを入れることで、走行時に安定感が生まれ、スムーズに走ることができます。
まとめ
毎年発売されるランニングシューズは、それぞれがターゲットランナーを絞ってそのランナーの走行などのコンセプトに合わせて開発されています。
同じブランドでも、シューズの種類が変われば全く履き心地は異なりますし、どのシューズが正解というものはありません。
また近年では、ナイキのヴェイパーやアルファフライに挙げられる通り、ある程度の走力を持つランナーが、シューズに合わせて走り方自体を変えにいくというケースも増えており、これまで以上にシューズ選びが面白くなってきた様に感じます。
ランニングシューズの寿命は500〜700km前後。月に250km走るランナーであれば2、3ヶ月に一度は買い替えの必要が生じる道具です。
シューズに対しての基本理解を持ちつつ、様々なシューズを楽しみたいですね。